セッション
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土と音楽 中澤 きみ子 氏
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生徒たちは 2 歳から学びにやってきます。2歳から大学に入る 18 歳までの非常に長いお付き合い、家族ぐるみのお付き合いです。ひとりの音楽家を育てるということは、ものすごいことなんですよね。バイオリンを通じて、生徒たちに与える私の影響は小さくありません。責任重大です。生徒たちは私を先生としてだけでなく、模範の女性としても見ているのですから。うれしいことに、今では孫弟子が私のところにやってくるようになりました。3世代にわたるお付き合いです。
実際、子どもたちとこんなやり取りをしたことがあります。「このモーツァルトの曲はすごく喜んでいるのよ、スキップする感じで弾いてみて!」と言っても、スキップを知らない。 スキップしたことがないって言うんですね。モーツァルトは、産まれたときのままの、真っ白な子供っぽさをそのまま持っているような人でしょ。スキップしちゃうくらいのうれしさが分からないなんて、そんな感情を持ったことがないなんて、それじゃモーツァルトの音楽が分からないじゃない!
※ここで、天皇皇后両陛下のご自宅にご招待を受けた際のお話。音楽を通して心を通い合わせられる両陛下と中澤ご夫妻のエピソードからはお人柄があふれ出すようで、会場は幸福な空気でいっぱいになりました。その内容は、会場にいらした方だけの特権ということにして、記録では伏せさせていただきます。 → 次のページ
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