セッション
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何が私を駆り立てるのか? 中貝 宗治 氏(豊岡市長)
3. 「豊岡」を語るときの視点、そこにある 2 つの大きな「感動」
せまり役:それではここからは、「せまり役」の私が市長に質問しながら、進めていきます。 コウノトリが空を羽ばたいた瞬間ですね(即答)。2005 年のことです。コウノトリの保護活動を始めたのが 1955 年、ヒナがかえったのが 1991 年、そしていよいよコウノトリを野生に返すときがきた。 そして、感動という言葉とは少し違うかもしれませんが、ぞっとしたことがあります。コウノトリが「プラス」の感動だとすれば、「マイナス」の感動です。それは、円山川の堤防が決壊したときです。2004 年の秋です。 豊岡を語る時、私はこの強烈な表裏の「プラス」と「マイナス」の感動を、必ずセットにして皆さんにお伝えします。コウノトリがテーマの講演でも、防災がテーマの講演でも、私は必ずこの 2 つについて触れます。この二面性を抱えているのが豊岡というまちだからです。 せまり役:堤防の決壊は、私の人生においても大きな意味があります。実は皆さんが今いらっしゃるこの部屋も、どっぷり水に浸かりました。こちらの土壁に線が見えますか。そこまで水に浸かってしまう、後に床に溶け落ちた土を再度塗り直したものです。グランドピアノも何もかもだめになりました。別の場所にある中田工芸の工場も、3m 浸かり 3 か月間操業をストップせざるをえない状態でした。 → 次のページ「4. 「中貝流」はいかにして育まれたか(1)」 |