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豊岡でエコファームを営む人々  成田市雄・青山直也 氏
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平成18年にはコウノトリ育むお米生産部会が設立され、平成20年からは養父市など但馬各地にも育む農法が広がっていきました。生産部会では、研修会や講習会、技術確立に向けた検証や調査、環境学習の支援のほか、指導者の育成に向けた取り組みも行っています。農家自身が地域のリーダーとして技術指導やPR活動、視察の受け入れを積極的に行えるようにアドバイザー養成講座を開講しています。

取り組み開始から数年間、減農薬タイプは伸びても無農薬タイプがなかなか広がりませんでしたが、ポット成苗と機械除草機による無農薬栽培実証が行われたことで、無農薬が一気に広がりました。ポット成苗は従来のマット中苗に比べると活着が早く風通しも良いので生育が良く、無農薬栽培に大変有利です。

2015年(平成27年)にはミラノ国際博覧会で日本を代表するお米としてコウノトリ育むお米が紹介されました。無農薬で作っても売り先を見つけないと生活できませんが、コウノトリ米の場合、市、県、農協による三位一体の普及体制で販売促進してもらえるので、農家は栽培に専念することができます。日本中の有機農家にうらやましがられます。

地域によって気候も土も違うので他の地域と同じやり方をしても成功しない。有名な先生を豊岡に招いても、結果は草だらけということもありました。農家は最前線でリスクを取って取り組んできました。

コナギが繁茂すると米は取れないし稲刈りさえできなくなります。自分の田圃では、田植え前に生やして水に浮かします。外に持ち出さなくても、草は10日浮かせば消えます。早く田植えすると草と喧嘩になりますが、6月になって植えると草はもう生えません。しかしそれでは大きくならないので、不耕起で抑草できないかと考えています。

平成17年に「食養の杜とやま」を視察したとき、古代米(黒米)や無農薬の農産物を食べていた方の癌が消えたという話を聞きました。現在、無農薬のコシヒカリは外に出てしまってほとんど豊岡で消費されていません。せめて学校給食で子どもたちにと訴えてきましたが、去年からようやく減農薬米が提供されるようになりました。私たちはコウノトリのために無農薬のお米を作っているのではありません。子や孫のために作っているのであり、その延長線上にコウノトリがいるのです。

食べる人がいないと農家は作れません。皆さんで食べてください。

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