セッション
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和食の成り立ちと特徴 谷 晃 氏
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2. 和食の特徴
- 四つ足の獣肉は使わないのが基本です。ただし、昔から牛肉は食べていました。彦根藩が将軍家に近江牛を献上していた記録もあります。限られた地域ですが、ウサギやタヌキも食べられていました。ウサギを1羽2羽と数えるのは、獣ではなく鳥である(だから食べてもよい)と強弁したためとも言われています。鳥は、現在はブロイラーや合鴨ぐらいしかありませんが、昔は野鳥やいろんな鳥を食べていました。
- 季節感を大切にします。16世紀にはあまりみられませんでしたが、江戸時代以降、茶懐石の発展と共に重視されるようになりました。茶の湯そのものも季節感を大事にします。
- 旨みをメインにし、素材の味を活かしてより引き立てるようにします。
- 関東では濃い味付けが好まれますが、本来の和食は旨みを引き立てるため、淡白な味付けにします。
- 味だけでなく、香り、見た目、歯ごたえなど、五感を総動員して味わう料理です。
- 出汁を重視し、工夫します。味噌汁は煮干し(頭とはらわたは取る)の方が美味しいです。日本料理は出汁が命。板前の修業でも出汁取りに3年かかると言われます。
- 揚げ物や炒め物は少ないです。油がなかったわけではありませんが、油を使うと強い味になりがちなので、避けられました。
- 盛り付けと器に工夫して美しく見えるようにします。焼き物や漆の器を多用し、料理とのハーモニーを楽しみます。
- 銘々の器と引物(大盛りの器)を併用します。
- 品数が多く、一品の量は少なめです。フランス料理にも影響を与えています。
- スローフードはイタリア発ですが、日本ではとっくの昔から茶の湯の懐石でやっています。地産地消、安全安心な目で確認できる素材を使います。
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