TAJIMA
CONNECTION
パスワードを忘れた方
セッション
発掘だけが考古学じゃあないんですよ!  潮崎 誠 氏
1.主催者あいさつ
2.遺跡の上に生まれ落ちた宿命の「眼」
3.私の職場
4.考古学の眼で見る縄文土器の美しさ
5.古代の「地場産業」に見るものづくりの精神
6.考古学の眼で「出石焼」の過去と現在をつなぐ
4.  考古学の眼で見る縄文土器の美しさ

これは縄文土器です。豊岡市の辻という場所で出土したものです。4000年くらい経っているはずです。個人的にもこの縄文土器をとても気に入っており、あちこちに貸し出したりしています。
今の感覚ではありえない非常に豊かな感性が感じられます。縄でつけた模様のなんとも自由な感覚。そして、さらに注目していただきたいのは、帯文様の中についている、細かい痕跡(意図してつくったと思われる模様)です。どうやってつけたのだろうか。そこに「縄」をたくみに使いこなした縄文人たちの感性を見るわけです。

さて、ここで皆様に配布している麻の紐を、お出しください。これからしていただく作業ができるかできないかで、器用・不器用が決定的に判明することになります(笑)。よろしいですか? この紐はすでによってあります。このよりを強めながら、さらによってみてください。2倍の太さに、4倍の太さに…
(参加者、隣同士と話し合いながら紐と格闘。かなり手こずっている様子)

みなさん、なかなか大変そうですが、昔のおじいさんたちは縄を編んでましたから、こういうことは大変器用でした。縄文の時代の人々も、同じようによりをかけて編んだんでしょう。そして、1回編んだ縄で土器につけた模様、2回編んだ縄で土器につけた模様、3回、4回…と試してみると、それぞれ模様が違うことが分かった。ただ斜めの線だけが出るものもあれば、線の間に米粒のような模様ができるものもある。縄模様のでき方を「考古学的手法」によって読み解いていくと、縄文人たちの遊び心が今の私たちにも伝わってきますね。

この土器は、豊岡市日高町の神鍋山の遺跡で発掘されたものです。縄文前期の土器で、きわめてマニアックなものです。とても複雑なループ紋様で、これを見た縄文土器の専門家も「すごい!」と舌をまいたくらいです。

© TAJIMA CONNECTION