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ニッポンの里山  小野 泰洋 氏
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(主催者)今回は、ご案内してから丸三日経たずに満席になってしまい、「残念」という声もいっぱいお聞きしました。二部も含めて、皆さんと一緒に有意義な時間を過ごさせていただけたらと思っています。

さて、今日のゲストの方は、NHK総合『ダーウィンが来た!』『生きもの地球紀行』のプロデューサーを務められ、現在はNHK・BS『ニッポンの里山』『ワイルドライフ』の制作をされています。今日は、「里山」というテーマを中心にお話を伺います。ぜんぜん緊張されていないということですから(笑)、全部お任せしたいと思います。

(小野さん)こんばんは。駅に降りたときは緊張していなかったのですが、周囲を歩いているうちに「釈迦に説法」しに来てしまったのではないかと緊張してきました(笑)。「ニッポンの里山」は現在132本。200本を目指しています。現場のディレクターを指導するのが仕事ですので、私自身全部は行っていませんが、すべて自分が企画して行かせたものです。これは自慢です(笑)。今日はそのダイジェストと思って見てください。

「里山」ってどんなところでしょう?この言葉は戦後生まれた言葉です。「奥山」というのは、木を切りに行ったりする役に立つところ。それに対して、里山は集落のすぐ裏手の雑木林を指します。京都大学の先生が「そこにも価値がある」と表明し、写真家の今森光彦さんが『里山物語』という写真集を出したあたりで爆発的に広がりました。

里山は人が手を入れて作ってきた二次的な自然です。川の氾濫原だったところに人が入り、奥山に居る神様をお迎えするために鎮守の森を作っています。田んぼや雑木林、そこに棲む生きものたちは、人が暮らし、人が働きかけることによって維持されています。人が暮らしているのに豊かな自然がある里山は、日本ならではの自然であり、世界に誇る文化的景観ともいえます。COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)では政府がその意義を世界に向けてアピールし、「SATOYAMAイニシアチブ」を提唱。次第に研究成果が集まりつつあります。

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